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営業革新の急所

◆第31号◆【行動分析学を参考にした部下への関わり方:その3】 ~「営業革新の急所」 ナマの営業の知恵をお届けします~

2012年 08月 15日

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このシリーズの最終回は、会話調で進みます。



では、登場人物を紹介しますね。

X部長:勉強家の営業部長。
最近行動分析学を知り、部下指導に生かせないか考えている。

Y課長:元トップセールスだが、部下指導はあまり得意ではない。

Z君 :人並みの営業マンで、今のところ成績に目立つところはない。
良いものを持っているがまだ開花していない。

■Z君育成ミーティング

X部長:さて、実はZ君の件だがね・・・

Y課長:はい・・・持ってるモノは決して悪く無いのですが、
意欲が高いとは言えないので、成績もパッとしないですね。

X部長:そうだよねぇ。
普段、Y課長はZ君に対してどういう指導をしているんだね?

Y課長:はい。日報でその日訪問した顧客について状況を確認して、
できるだけ次の作戦を指示しています。
なかなかその後のチェックはできないのですが・・・。
それに、ポカミスも多く、見つけたときは怒鳴り飛ばしてますよ。
元気がなさそうなときは、飲みに連れて行ってますし・・・。

X部長:そうかぁ・・・(考え込む)

Y課長:・・・あの、何か?

X部長:実はね、最近「行動分析学」という本を勉強したんだよ。
その本では、君が言った事は、
Z君のような人を動機付けたり行動を改善する効果はない
ということになるんだよ。

Y課長:(けげんな顔で)行動分析学ですか?

X部長:そうだよ。つまりね・・・
(行動分析学について簡単に説明)

Y課長:なるほど。
つまり、行動に関わるのではなく、行動の前後の環境を変えるよう
働きかけるということですね。
でも営業マンは、成績をあげた結果として賞与額が上がりますよ。
これって、行動後の環境による動機付けなんじゃないですか?

X部長:確かに当社には、実力主義の処遇制度があるよね。
もちろんそれは必要だけど、それだけじゃダメなんだよ。

Y課長:どういうことですか?

X部長:人の動機付けや行動改善には、行動直後の環境が重要なんだ。
賞与が出るのは半年間の営業活動の結果だろ。
昇進昇格は更に時間がかかる。


■よくある上司のカン違い

Y課長:じゃあ、営業マンが契約を取って帰ってくれば「良くやったな!」
と声をかけますし、成績不振の営業マンは叱咤しますよ。
これって、Z君にとっては「直後の環境変化」じゃないんですか?

X部長:う~ん、違うんだな。
行動直後とは、例えば目の前のお客さんの反応とかのことだよ。
営業活動で失敗を実感したり、お客さんに嫌われた場合かな。
だから、いくら賞与をたくさんもらいたくても弱化の原理が働いて
どんどん意欲を失ってしまいがちになるんだ。

それから、Y課長が「よく受注したな!」と褒めるときは、
必ずしもZ君の行動が良かったとは言えないだろう?
つまり、Z君は今までと同じような工夫しかしてないのに、
たまたまお客さんが買ってくれる場合だってあるよね。
その場合は、Y課長がいくら褒めても、
動機付けにも行動の改善にもなりにくいんだよ。

Y課長:・・・

X部長:ところで、Z君の問題はどういったことにあると思う?

Y課長:そうですね・・・。まず段取りが不足していますね。
Z君は次の日の準備が大雑把で、
「このくらいでいいや」で済ませているように見えます。

X部長:そうなのか。それで君はどうやって指導しているんだね?

Y課長:準備の仕方は、一度懇切丁寧に教えてやったんですが、
今は元に戻ってしまってるようです。
また叱り飛ばしてもいいんですが、
Z君だけにかまってもいられないし・・・。
つまり、あいつは根性も意欲もないということでしょう。

X部長:そうかぁ、それは腹も立つよなぁ。
でもさ、それは個人攻撃の罠だよ(※第29号参照)。


■X部長の指示

Y課長:(不満そうに)じゃぁいったいどうすれば良いというんですか?

X部長:そう食ってかかるなよ(苦笑)。
つまりね、新しいABCを追加するんだよ。(※第30号参照)

Y課長:新しいABC?

X部長:Z君の成績が振るわない原因のひとつに準備不足があるのなら、
ただ叱るのではなく、いつまでに何をするのか約束させるんだ。
それも個人攻撃の罠に陥らないように、理性的に接しながらね。

Y課長:小学生に教えるみたいですね。
それよりももっと優秀な人材を採用した方が、
早いような気がしますが。

X部長:いや、当社のような規模や業界での採用は、
優秀な人材が引きもきらない、ということはありえんよ。
確かにZ君のような社員は、教える手間がかかるかもしれん。
でも、それがY課長の重要な仕事だということだよ。

Y課長:・・・・それはそのとおりですね。申し訳ありません。

X部長:じゃぁ、Z君がやるべき準備とはどんなことがあるのかね?

Y課長:はい。まず、常に具体的な作戦を考える、ということです。
お客さん毎に、どういう情報を収集し、どういう手順で説明し、
どういう資料を渡すかといったことを考えておくのです。
それから飛び込み訪問も、今までのやり方の悪い点を考えて、
常にトークや態度やツールを改良しなければいけません。
こういったことの基本は、既に営業研修で学んでいるはずです。

X部長:そうか。じゃぁ、まずその準備についてこうしたらどうだろう?
まず、毎日どんな準備をどんなレベルまで行うか、
ということをY課長がZ君と約束する(A:先行条件)。
次に、約束どおり、彼が毎日準備をする(B:行動)。
そして、その準備した内容をY課長が確かめるんだ。
当然、十分に準備できていれば褒め(C:結果)、
準備が不十分だったら、自信を持って叱ればいいよ(C:結果)

Y課長:なるほど。それだったら、どの行動に対して
私が褒めたり叱ったりしているか、明確ですよね。
それに、いくらでもABCのバリエーションはできそうです。

X部長:そうだね。
AとCを変えることで、Bを変えるということだよ。
十分に準備したり、社内で訓練・検討すれば、
Z君だってお客さんから喜ばれるさ。
つまり、

A:十分に準備してから
B:良い商談をすれば
C:お客様に喜ばれる

ということになるから、強化の原理が働くしね。

Y課長:(頷きながら)ちょっと面倒ですが、
そのくらいしないと他人は変えられない、ということですね。

X部長:そうそう。
簡単に他人が変えられるワケ無いのに、
部下がなかなか成長しないと簡単に見放したり、
イライラしたりするのは、上司の思い上がりかもしれないね。
・・・・おっと、今のは僕の事を言ったんだよ(笑)。


 


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(文責:株式会社ジェイック 実戦型営業コンサルタント 林 丈司)


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