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営業革新の急所

◆第72号◆「クビになった転職営業マンAさん~最終回~」 ~「営業革新の急所」 ナマの営業の知恵をお届けします~

2013年 01月 08日

こんにちは。
第72号の営業革新の急所です。

不動産業のAさんの話も今回が最後です。

簡単に振り返ると・・・

元経理マンのAさんは、不動産業に営業マンとして転職したものの、
試用期間に結果を出すことができず、解雇されてしまいます。
しかし、再就職ができそうもなかったAさんは、
その不動産会社の社長に土下座をして、なんとか再雇用してもらいました。
でも今回も3ヶ月間で結果を出さないと、また解雇されてしまいます。

再雇用された直後、Aさんは私の営業研修に参加しました。
1チーム目の研修に参加したAさんは、社長に罵倒されてしまいますが、
もっと商談を上達させるために第2チームの研修にも参加しました。


■ 私がAさんに求める商談とは


詳しい説明は省きますが、私が要求する商談になるためには、
主に以下のような点について改善が見られることが必要です。


 ▼特に商談初期において、お客様の警戒心を和らげること

 ▼“売らんかな”ではなく、お客様の立場に立って関わっていくこと

 ▼営業マンが商談の主導権を握り、意図する場所にお客様を導くこと

 ▼詰問調にならないように質問し、かつ必要な情報を収集すること

 ▼ニーズに合致する形で、信憑性と具体性を伴ってプレゼンすること


それぞれを実現する具体的なテクニックがあり、
そのための商談手法をAさんには伝えてありました。
また、商談を行う状況設定はあらかじめ3種類に絞られているので、
本人がその気になりさえすれば、
ごく短期間に身につけることが可能なはずなのです。

トップセールスは、必ず見事な商談を行っています。
逆に売れないセールスは、商談の重要なポイントを押さえてないものです。
だからまずは3種類の状況下で、押さえるべきポイントをきちんと踏まえた上で、
効果的で正しい商談の進め方を獲得させたいのです。



■ Aさん、最後のチャンス

  「やっぱりダメか・・・」

商談のロールプレイングをやらせてみると、私は内心つぶやきました。

Aさんは自宅で2時まで練習したと言っていましたが、
若干は良くなっているものの、目を見張るほどではありません。
当然お客様の心を動かすような商談になっていないのです。


彼にとって都合3日目の研修が終わると、もう一度彼と話をしました。

 「研修でもアドバイスしたとおり、少しよくなってはいるけど、まだまだ
  ですね」

 『はい・・・』

 「もう一度言いますが、この3種類のパターンだったら、一晩でもできる
  はずですよ。だって、共通する点も半分以上あるんですから」

 『そうですね・・・。どうも夕べは十分練習できなくて・・・』

 「だったらAさん、もう一度約束してください。今夜こそ徹底的にやると」

 『・・・はい』

そこで、私がAさんと約束したのはこういうことです。

 ▽これから神奈川の自宅まで帰る2時間の間、風呂に入るときも、夕食を
  食べるときも、すべての時間を商談の改善に使うこと
 ▽研修テキストやメモを見直し、注意された点を踏まえ、考察すること、
  頭の中でロープレを繰り返すこと
 ▽奥さんに協力をしてもらい、奥さんにお客さん役になってもらってとに
  かく徹底して練習すること

ただこれだけ。
猶予は一晩だけです。


■ いよいよ最終日

研修の最終日です。
もうAさんに、練習をしたかどうか確かめる必要もありません。
9時に開始の挨拶をして、研修開始。
私はAさんを最初に指名しました。

Aさんの商談がはじまり、そして終わりました。

・・・・

本当に驚きました。
メルマガのために大げさに表現しているわけではありません。

今思い出すと笑ってしまうのですが、厳しい言葉をかけていた社長に
コメントを求めたら、ホントに絶句していたのです。
営業部長も、「いや~・・・何があったんだ?」と口を開けていました。

それもそのはず、まぁまぁ良くなっていた、というレベルどころはなく、
既に述べた▼がすべて見事なほど達成されていたのです。

その後、他の営業マンと交代で商談を発表するAさんでしたが、
すべてのパターンで非常に高いレベルを見せてくれました。

休憩時間にAさんに聞いたところによると、
その日は奥さんと一緒に一睡もしていなかったそうです。
奥さんがお客さん役になってくれて、朝までずっとロープレの
相手をしながらアドバイスをしてくれたとのことでした。

素晴らしい奥さんではないですか。



■ ・・・そしてその後のAさん


とはいえ、ロープレはロープレ。
実際のお客様に対して通用するかどうか、それが大切ですよね。

8月の研修が終わって、9月も半ばを過ぎた頃でした。

件の営業部長さんから電話がかかってきました。
そのまま表現するとこんな風になります。


 「あ、○○部長、ご無沙汰しています。^^」

 『いえ、こちらこそ・・。それより先生、Aが、Aがぁ~っ!』

 「え?どうしたんですか?(不安)」

 『たった今、2棟、2棟決めました~~~!』


その後Aさん本人と話しましたが、照れながら喜んでいたのを覚えています。

建売住宅を2棟契約するのは、不動産業界の営業マンとしては
決して珍しいことではありません。
トップセールスは、4棟5棟契約をいただくこともあります。

でも、入社してからずっと営業マンとしての適正に疑問符がついていて、
かつ周囲からも期待されていなかったAさんがはじめて出した実績としては、
周囲を驚かせるに十分だった様です。

その年の12月だったでしょうか、社長さんとお話ししたところ、
その後のAさんはトップクラスではないにしろ、十分売上が読める営業マンに
なりましたよ、とおっしゃっていました。


商談って、改善するのはそう難しくないんですよ。
そう、本人次第なんです。



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(文責:株式会社ジェイック 実戦型営業コンサルタント 林 丈司)


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