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- ◆第30号◆【行動分析学を参考にした部下への関わり方:その2】 ~「営業革新の急所」 ナマの営業の知恵をお届けします~
◆第30号◆【行動分析学を参考にした部下への関わり方:その2】 ~「営業革新の急所」 ナマの営業の知恵をお届けします~
2014年09月05日
こんにちは。
今週も営業革新の急所をお送りします。
今回は前回に引き続き、“行動分析学”を参考にしながら、
営業管理職から部下への関わり方を考えます。
前回から3週間空いてしまったので、まずは簡単に振り返りから。
- リーダー次第でその組織は決定される
- 上司は“個人攻撃の罠”に陥りやすい
- この罠に陥っている限り、部下は育たない
- 部下の態度や意欲は、他人である上司の手には届かない
- 行動分析学は、心ではなく“環境”に介入することで、
その人の行動がどう変わるかを研究した学問
- この考え方を身につけると、部下の行動に問題がある場合、
それは本人だけでなく、“関わっている上司の指示の出し方・
関わり方等にも原因がある”と考えることができる
どうでしょうか。
思い出していただけましたか?
では、今週号の始まりです。
■強化の原理と弱化の原理
行動心理学では、他人(上司)が関わって、
どのようにその人(部下)の環境を変えれば良いのかを考えます。
この点を正確にお伝えするためには、
強化の原理と弱化の原理を説明しておかなければなりません。
▼強化の原理
============
ある行動をとることで、何か良いことが起こったり、
悪いことがなくなったりすると、
その行動が強化され繰り返されるということ
例えば、家族で食事をしているときに、父親が駄洒落を言います。
すると、普段は父親をあまりかまってくれない娘が、
ツボにはまって大笑いしました。結果、強化の原理が働いて、
父親は更にくだらない駄洒落を言うようになります。
※我が家のことではありません、念のため
このように、行動を強化する“何か良いこと”を好子(こうし)といいます。
上記の場合、娘が大笑いしたことが好子になっているわけです。
企業組織で例えれば、ある好ましい行動をとった部下を
上司が褒める(好子)ことで、その行動を部下に繰り返し取らせるよう
強化することができるワケです。
▼弱化の原理
============
強化の原理とは逆に、ある行動をとることで、
何か悪いことが起こったり、良いことがなくなったりすると、
その行動が繰り返されなくなるということ
例えば、飲み会で、つい調子に乗って下ネタを話してしまいました。
結果、女性から嫌われてしまい、視線が冷たく感じたとしましょう。
これは「下ネタを言う」という行為が弱化されるため、
以降この人は飲み会で下ネタを言うことがなくなる、ということになります。
※これも絶対私のことではありません、念のため
行動を弱化する“何か悪いこと”を嫌子(けんし)といいます。
言うまでもなく、ある行動を取る(取らない)部下を
厳しく叱責することは、嫌子として働きます。
しかし実は、嫌子を多用するマネジメントはあまり効果的ではない
と言われています。
なぜなら、嫌子を多用すると、
- 怒られるのを避けるために失敗を隠したり
- 上司から見える場所で行動を変えるだけだったり
- 水増しの報告を増やしたり
するようになるからです。
営業マンに対して、
「なんで毎月見込み案件が少ないんだ。1ヶ月何やってたんだ!」
と叱ってばかりだと、実際は到底受注できそうもない案件を、
高い見込みとして報告してしまうのはこのためです(笑)。
つまり、見込み案件の水増し報告です。
(これは「心理学上当然のこと」ということになります)
御社では心当たりありませんか?
■行動随伴性とABC分析
強化の原理や弱化の原理が働くときは、たいてい
「~のとき、~したら、~になった」という関係が成立しています。
- 「~のとき」は先行条件(A:Antecedent)
行動が起こる直前の環境のことです。
- 「~したら」は行動(B:Behavior)
- 「~になった」は結果(C:Consequence)
行動の直後に起きた環境の変化のことです。
先の例では、こうなります。
先行条件A : 家族で食事をしているとき
行動 B : 駄洒落を言ったら
結果 C : 娘が大笑いした
先行条件A : 飲み会のとき
行動 B : 下ネタを言ったら
結果 C : 女性から嫌われた
営業マンでは、例えばこうです。
先行条件A : 明日の訪問の準備をしているときに
行動 B : 自分で徹底して考えた作戦を上司に報告したら
結果 C : その姿勢を褒められた
⇒強化の原理が働いて、更にコミュニケーションがよくなる
先行条件A : 飛び込み訪問の際
行動 B : 元気良く相手に挨拶したら
結果 C : 冷たくあしらわれた
⇒弱化の原理が働いて、飛び込みの挨拶がどんどん弱気になる
このA、B、Cの関係を行動随伴性といい、
行動随伴性を分析する事をABC分析といいます。
(商品や顧客分析に使われるABC分析とは全く別のものです)
このABC分析をすることで、
- ある人が望ましい行動を起こさない理由
- ある人が望ましくない行動を起こす理由
を推測でき、
○部下を動機付けし
○育成するための今後の行動
をより明確にすることができます。
■上司は部下のどこに関われば良いか
なんだか今回は難しい話が多くなってしまいました(笑)。
行動分析学を頭に入れて部下に関わるということは、
部下の行動(B)の直前・直後の環境(AとC)に
目を向け関わっていくことで、部下を育成する
ということです。
う~ん・・・・。
まだ、私が伝えたい肝心のところを説明しきれていません。
ということで、具体例はまた次回に譲ります。
私がホントに書きたかったのは、次回の部分なのです。
私は、管理職の方々が部下を育成するのに、
非常に大きな効果を発揮する手法として、
この行動分析学を取り上げているつもりです。
今回はちょっとわかりにくい話になってしまいましたが、
次回を是非お楽しみに。^^
参考文献:パフォーマンス・マネジメント
~問題解決のための行動分析学~ 島宗 理 著
了
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(文責:株式会社ジェイック 実戦型営業コンサルタント 林 丈司)
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