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営業革新の急所

◆第179号◆ お客様に尽くす営業マン ~「営業革新の急所」 ナマの営業の知恵をお届けします~

2013年 09月 24日

こんにちは。
第179号の営業革新の急所です。

何をテーマにしようか、悩んで悩んで・・・・
というのはウソで、さっき風呂に入りながら思いつきました。(笑)
でもいい加減なわけじゃないですよ。
私にとってのお風呂は、アイデアを出す場所ですから。

思いついたのは、トップ営業マンの事例を紹介しよう、ということです。
共通のテーマは、「お客さまに尽くす」です。

けっこうネタはあるので、シリーズでお届けしようかと思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


今回は二人の営業マンの実例です。


■クレーム対応で尽くしたAさん


ある企業の社長Aさんが営業マン時代の話です。

数日前に製品を納品したお客さま(製造業の工場長)から、
週末の夕方、お怒りの電話をもらったそうです。

「せっかく購入した機械が故障しがちで安定稼働しない!
  これから書きいれ時なのにどうしてくれるんだ!」

それはもうすごい剣幕です。
Aさんは担当のサービスマンを連れて、あわてて飛んで行きました。

調べてみるとある部品の不良が原因だとわかりました。
交換するために、その部品メーカー(岡山県)に問い合わせたものの、
宅配便で届けるとしても週明けの月曜日になってしまいます。
ということは、少なくとも月曜のお客さまの工場のラインは止まってしまうのです。

そこで、Aさんは金曜夜に自ら車を走らせ、岡山まで往復したそうです。
部品メーカーには無理を言って、深夜に交換部品を受け取れるよう
根回しをしておいたのは言うまでもありません。
不眠不休で運転したAさんが都内に帰ってきたのは土曜日の昼間です。
そのままお客さまの工場に伺い、技術の経験もある彼は、
サービスマンと共に部品の交換作業を始めました。

真夏の暑い日。
休日で冷房が止まっている工場の中は、35度を超える状態だったそうです。
汗をたらたら垂らし、寝不足で気が遠くなりかける中、
なんとか作業を終えたころには夕方5時を回っていました。

彼にしてみれば、お客さまに迷惑をかけたくない、という思いから
このくらいするのは当たり前、と考えて行ったことでした。
ですから、自分の一連の行動がお客さまの目にどう映るか、
ということは全く考えていなかったそうです。

テスト作動も問題なかったので、ほっとしながら、
オフィスにいる工場長に修理終了の報告を行いました。
しかし念のため、月曜は朝からいつでも駆けつけることができるよう
サービスマンと共に待機する予定だ、とも伝えました。

それまでの彼の奮闘を無言で見守っていた工場長は、
「ありがとう。体を大事にしなさい。これからもよろしく頼むよ」と、
それまでとは打って変って優しい声をかけてくださったそうです。
しかも3000円もする栄養ドリンクを渡してくれたのでした。

それ以降、何度も別の発注をいただき、大口の上得意になったそうです。



■お客さまの要望を断っても尽くしたBさん

今度はカーディーラーの営業部長Bさんのお話です。

やはりBさんが営業マン時代、ある車種(スポーツタイプ)を買うために
展示場を訪れたお客さまの接客を行ったそうです。
最初から購入意思を表明しているのですから、ありがたいお客さまです。
楽に成績があがるし、時間も節約できます。

とはいえ、念のため家族構成や車の使い方などをヒアリングしました。
すると、どう考えても、このお客さまに適切なのは
別の車種であることがわかったのです。

Bさんは購入する車種を変更した方が良い旨、丁寧に説明しました。
しかしお客さまは聞く耳を持ちません。
自分が欲しいのはあくまでもスポーツタイプであって、セダンではない、ということです。
どうやら少し短気な方らしく、だんだん不機嫌になってきました。

車は、趣味・好みが購入動機になることが多い商品です。
お客さまがその車を「買いたい」と言っている以上、
別の車種を勧めてわざわざ機嫌を損ねることもありません。

しかし、このお客さまのあらゆる事情は、
どう考えてもスポーツタイプに適さないことを示しています。
お客さまご自身(ご主人)は週末だけで普段は奥さまが運転するということ、
奥さまはお子さんを幼稚園に、病気がちのお母さまを病院に送迎すること、
奥さまの運転技量に不安があるのにスポーツタイプにはマニュアル車しかないこと、
家族4人(ご主人、奥さま、お母さま、お子さん)で乗ることもあるのに
スポーツタイプは2ドアで、しかも2+2のシートしかないことなどです。

しばし考えた末、Bさんはこう言いました。

「申し訳ありません。
  私はお客さまにこの車は売れません。
  もしこの車を購入されたら、お客さまが必ず後悔することがわかるからです。
  なので、購入されるなら、他のディーラーで購入してください。
  本当に申し訳ありません。」

真剣な顔で頭を深々と下げるBさんを見たお客さまは驚いていたそうです。
しかし心から自分のことを考えての発言だということが、
お客さまに伝わったのでしょう。

お客さまはこう言ったそうです。

「では、あなたが私にピッタリだと思う車種を説明してください」

結局、お客さまは夢にまで見たであろうスポーツタイプの車種をあきらめ、
Bさんの勧めるセダンタイプを契約されたそうです。


約10年後、このお客さまからBさん宛に手紙が届きます。
私はその手紙を見せてもらいましたが、おおよそこんな内容でした。

~お客さまからの手紙の概略~
・ 今は転勤して九州に住んでいます。
そろそろ車を買い替える時期なのですが、ふとBさんのことを
思い出してペンを取りました。
・ 10年前、Bさんは私が欲しい車を売ってくれませんでしたね。
最初は頭に来ましたが、そのときのあなたの態度は誠実そのものでした。
・ だから結局、あなたの勧める車種を購入したわけですがそれで良かったのです。
自分が欲しいと思っていた車種を買ったら、
Bさんの言っていた通り強く後悔していたことでしょう。
・ 私はずっとスポーツタイプが欲しくて、その熱に浮かされていたのです。
しかし結局、あなたが勧めた車を気に入ってしまって、10年も乗ってしまいました。
だから私や私の家族に一番合っていたのは、
Bさんが勧めてくれたセダンだったのですね。
・ 今回の買い替えでもまたBさんから買いたいのですが、
九州に住む身ではそれもかないません。
・ 私は今まであなたのような営業マンには会ったことがありません。
本当にありがとうございました。


手紙を私に見せてくれたBさんはこう言っていました。

  「この手紙は私の宝物なんですよ」


Bさんは自分の経験に基づき、お客さまに尽くした提案を行ったのです。



■尽くすことは差別化につながる

言うまでも無いのですが、ここで取り上げた「お客さまに尽くすこと」は、
ご機嫌取りのことではありません。
また、お客さまのいいなりになることでも、滅私奉公のことでもありません。


「ビジネスの成功の要は競争力にあり、競争力とはいかに差別化できるかである」
とこの本 http://tinyurl.com/2fzho6t に書いてありましたが、同感です。

ビジネスなのですから、営業の場合も同様です。

営業活動では、競合の営業マンとの競争になることが多いものです。
そうでなくても、お客さまは営業マンに対して
「こういうときはこう対応してほしい」と思っています。
営業マンの行動が、内心の要望通りならお客さまは不満に思わないし、
その要望を超えれば大満足するでしょう。
要は、お客さまの頭の中の「理想の営業マン像」との競争でもあるのです。

だから、先の言葉をこのように言い変えます。


  「営業活動の成功の要は競争力にあり、
  競争力とはいかに他の営業マンと差別化できるかである」


では営業マンはどうやって差別化したらよいでしょうか。

それは小手先のテクニックではなく、営業マンとしてお客さまに
誠心誠意尽くすことこそが、真の差別化につながると思うのです。

今回取り上げたふたつの例はまったく違うケースですが、
お客さまに尽くした、という点では同じだと思います。


次回は別の営業マンのお話を書いてみましょう。



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(文責:株式会社ジェイック 実戦型営業コンサルタント 林 丈司)


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