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◆第28号◆【ジェイック新入社員3人の飛び込み訪問】 ~「営業革新の急所」 ナマの営業の知恵をお届けします~
2014年08月22日
こんにちは。
第28回の「営業革新の急所」です。
今年御社にも、希望に満ちた新人が入社されたと存じます。
新入社員が入社すると、組織が活性化するものですよね。
昨年の新卒社員はやっと先輩になれるし、私のような古参の社員でも
彼らからいろいろ刺激を受けるものです。
今回はジェイックに入社した、3人の新卒の飛び込み訪問のお話です。
■3人の名前は、稲本君、本間君、浄泉君といいます。
4月と5月の2ヶ月間、
彼らには研修の意味合いから飛び込み訪問をしてもらいました。
この期間の彼らに与えられた目標は、
社長名刺20枚獲得、1冊600円の読本100冊の販売です。
(弊社読本をご存じない方はこちらをご覧ください。)
http://www.jaic-g.com/book/index.html
弊社社長や常務が意図した真の目的は、売ってくることではなく
- お客様に買っていただくことの難しさを体験すること
- 自分で自分の行動を研究し、考える習慣を身につけること
です。
彼らへの教育・管理は、セミナー事業部の大滝が担当しました。
私は4月中旬から大滝をヘルプする形で、彼らの営業活動に関わっています。
以下、彼らの戦いのお話です。
■当初は自由に飛び込みをさせていた。
一言で言えば、刈り取り型の1回こっきりの訪問活動です。
彼らは、社長に会いやすそうな小さな企業を訪問します。
大きく元気な声で「失礼いたします!」
お辞儀のあと「私、ジェイック新入社員、○○と申します!」
「失礼ですが、社長様いらっしゃいますでしょうか?」
言うまでもなく、普通の営業です。
新入社員なので無理もありませんが、何の工夫もありません。
『どういうご用件ですか?』と怪訝な顔で言われ、
「はい、弊社は人材教育と人材紹介のジェイックと申しますが、
今研修で社長様に名刺を頂戴・・・それとこちらの読本をご説明・・・」
『結構です!』
という感じで、 撃沈の連続 です。
他には断り文句として、こんなものがあったようです。
『営業はお断りしています』
『帰ってください』
『そういうの全部断ってるから』
『その線から入ってこないでください!』
『今、間に合ってます』
『何かあったらこちらから連絡します』
『いらない』
『はい、ごくろうさん』
中には、顔も向けず無視されたり、
渡した名刺をゴミ箱に捨てられたり、
『お前バカか?』 と言われ、
悔し涙を流した新入社員もいました。
いくらなんでも、お前バカか、はないですよね(笑)。
本人達によると、人ではなくモノのように扱われたことが多く、
総じて受付の方に嫌われていたそうです。
(ごくたまに、新入社員ということで
笑顔で対応してくださった方もいたようですが、
2回行くと迷惑がられてしまった、とも聞いています)
でもこれは、相手の立場、相手の心理を理解しようとせず、
自分の都合だけを押し付けた結果なんですよね。
ですから当然といえば、当然でしょう。
このような飛び込み訪問は相手にとっては、
迷惑以外の何者でもない のですから。
■訪問のやり方を変えた結果どうなったか・・・稲本君の場合
私からアドバイスして、4月20日から
以下のように訪問の方法を変えさせました。
- 訪問した際は必ず情報(このメルマガのバックナンバー)を持参する
- 1社につき3日ごとに3~4回訪問する
- 最初の1~2回は、情報を置いたらサッと帰ることを基本にする
- 2~3回目に最低限確認すべき情報を聞き出す
- その情報を元に、継続訪問するかどうか見極めをする
- 4回目の訪問以降に、キーマンに面談するためのアクションをとる
- 面談できたら簡単に聞き出しを行いながら、プレゼンをする
これは、本メルマガ第1号で解説したやり方をベースにしています。
GIVE&GIVE&GIVE&TAKEの訪問ですね。
このような活動をした結果お客さんの反応がどう変わったかについて、
5月末にレポートを提出させました。
例えば、稲本君は以下のようなことを体験したそうです。
▼持参した情報を気に入ってくれた社長に、2回目で会って
悩みを聞くことができた。
でも商品説明できなかったのでまた訪問をすると、4回目に受付の方から
「また来たの、ありがとね。今日社長いないんだよ。
待ってて、今予定調べてあげるから。
・・・あら、わからないわ。今度来る前に電話してきな」
後日、約束どおり電話しました。
「今日はまだ帰っていないのよ。1時間後にまたかけて」
稲本君が1時間後に電話すると
「ごめんね、まだなのよ。社長に電話して何時に帰ってくるか聞い
てあげる。そのあとそっちに電話してあげるから、番号教えて」
その結果、社長と話すことができた。
でも、会えるのは6月とのことなので、結局実績にはならなかったようです。
残念です。
ただ、全般的にお客さんの反応は明らかに変わった、とのこと。
▼1回2回と悪い反応でも、3回目で良くなっている会社があった
▼立ち面談の回数が明らかに増えた
▼情報を持参すると「ありがとう」と言われるようになった
▼キーマンに会える確率があがった
▼キーマンに会った際、ある程度話ができる雰囲気になった
ここまでは狙い通りです。
・・・しかし、売れないんです。
■苦肉の策 街頭販売
研修期間も終盤に差し掛かった5月27日。
彼らには、「売れるまで帰ってくるな」という指示を出しました。
大滝も私も、こう言われて深夜まで営業した経験があります。
でも実は、こんなことやっても、売れるわけではないことは知っていました。
一度彼らに、売ることの厳しさを体験して欲しかったから、指示したのです。
案の定夜8時になっても売れない彼らは、新橋の街頭販売を試みました。
大きな画用紙とマジックを買ってきて、
「売れるまで帰れません!読本1冊買ってください!」と書いて
一杯飲んだ帰りのサラリーマンに声をかけたのです。
この画用紙に書いた文章はコピーとしてはあまりよくありませんが、
何人かは買う寸前まで行ったそうです。
中には財布を出して買おうとした人がいたのに、
仲間の方に押しとどめられてしまったとの事。
惜しかった。
■結果どうだったか
結局、彼らの販売冊数は、人によって実績ゼロから29冊でした。
獲得した社長の名刺は5枚から14枚。
そして4月と5月では、4月のほうが売れたようです。
つまり表面的に見れば、複数回訪問する方法よりも、
刈り取り型の訪問の方が売れたということになります。
しかし、顧客の反応は明らかに5月のほうが良かったのです。
これまでの活動をまとめると以下のようになります。
- 小零細企業に訪問していた4月は、1冊買ってくださった企業が何社かあった
- しかし、人事コンサルタントの方に全種類購入いただいたケースを除き、
ほとんどが1冊買ってくれただけだった
- これは、読本をパッと見て「1冊くらいならいいか」というかんじで
買ってくれたためと思われる
- 100冊売るためには、大きな会社のキーマンに納得いただいた上で、
たくさん買ってもらわなければいけない。そこで5月の訪問は、
大きめの規模の会社に訪問した
- 情報を持参した上で繰り返し訪問することで、社長やキーマンに面談
できるケースも出てきたが、彼らが説明しても簡単に断られてしまった
とはいえ、5月の方法でないと100冊、
もしくはそれ以上の読本は売れないと思います。
今回は短期間の取り組みで、「情報提供と繰り返し訪問により
会う機会をいただけるようになった」だけに終わってしまいました。
しかし、その上できちんと情報を聞き出して、
以降正しい営業活動に徹すれば、必ず何社かの企業には
数十冊買っていただいたはずだと思っています。
それにしても、この読本シリーズは全国で38万部以上販売されているのに、
今回の活動ではほとんど読本を売ることはできなかったことになります。
(私の書いた4種類の読本だけで発売3ヶ月で2万部売れているのです)
だからこそ、この2ヶ月間飛び込み訪問に取り組んだ3人の新入社員は、
モノを売ることがいかに難しいか、ということを実感したことでしょう。
■本間君の振り返り
本間君は、レポートの中で以下のように反省をしています。
- 最初は新人という武器があった
それがいつまでも通じると思って5月もそれで行ってしまった。
トークを磨ききらずに、新人ということに頼ってしまった。
- 過去いただいたお叱りの言葉で共感を得る
彼らには、ツールにメッセージを書いて渡すように言ってあります。
受付の対応が丁寧な会社に
「ある会社さんでは、実は××××なんて言われたこともあるのですが、
御社のような丁寧な対応ははじめてです」
と書いて渡すと、より仲良くなれることが多い。
- 商品知識が甘かった
読本を読むだけでは足りない。
もっと研究が必要だった。
- 1回目訪問で見極めるべき
ダメなところにいくら訪問しても意味がない。
受付の反応・社内の雰囲気などで、2回目までに判定すればよかった。
- やれることはいくらでもある
どうしても売りたくて、3人で知恵を絞り考えた。
新橋での街頭販売もそのひとつ。
アイデアは考えれば考えるほど出てきた。
「このやり方じゃ売れない」と言う前に、
「どうやったらできるのか?」と考え、上司や先輩に質問すべきだと思う。
- 小さなコミュニケーションをつなげると、太くなる
会ったときからこまめに連絡を取ると、売れる。
続けるのは大変だけど、続ける価値はあると思う。
- 万全の準備
訪問前にどれだけ準備をするかで、話す言葉の重さが違う。
心の余裕が違う。
飛び込みで聞き出した情報は必ずメモして、次回の訪問に活かすべき。
- 営業マンは情報通
「相手が欲しい情報を相手が使いやすい形で持っていけば、
喜んでもらえるに決まっているよなぁ」と実感した。
なかなか良い振り返りです。
自分自身でなんとかしよう、という行動は、
本間君に限らず全員に見られた傾向でした。
これだけで、2ヶ月間の新入社員研修の目的は達成できたようなものです。
了
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(文責:株式会社ジェイック 実戦型営業コンサルタント 林 丈司)
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